Project of KINOSHITA
木下プロジェクト
JR大阪駅 大阪ステーションシティ開発プロジェクト
プロジェクト概要
2004年から始まったJR大阪駅の改修工事(大阪ステーションシティ開発プロジェクト)に参画し、2011年に改修工事が完了。
スーパーゼネコンをはじめとする建設関連企業が全国より数百社が参画した大型プロジェクトに参加し、改修工事を行う。
大手ゼネコンからの依頼で参画
木下工業で扱う“鉄骨”は大型の建造物で使用され、その建造物の根幹(ベース)となる最も重要な資材である。そのため、どこの企業でも取り扱いができるというものではなく、国内で提供できる企業の数も限られている。結果として当社には日々、全国各地からお問い合わせをいただいており、主要顧客としては大手ゼネコン(いわゆるスーパーゼネコン)の方々がほとんどだ。
現在、我々が過去の提供した鉄骨資材は、福井県内はもちろん、全国各地で市役所や県庁、病院等の公的施設や大型の商業施設などに利用されている。中でも最も大きなプロジェクトと言えるのが、2004年から始まった大阪駅の改修工事案件だ。
大型の建造物の工事というと、数か月長くて数年間、1日10時間くらいかけて進めていくことがほとんどであるが、この大阪駅の改修工事というのは少し異質な案件だった。スーパーゼネコンの担当者から言われたのが「日中は関西のハブ駅として機能している大阪駅の為、作業ができない、終電から始発までの限られた時間で作業をしてもらうしかない。」というもの。これまで経験をしてきた案件とは、比較にならないほど厳しい条件の案件であった。
終電から始発までの4時間が勝負の毎日
この案件は、受けた当初からなかなか無理のある案件だなという気持ちもあったが、国内でこの工事ができる企業はなかなかいない為、当社としても受ける以外の選択肢はなく、何より西日本最大の駅の改修工事ということで、非常にやりがいを感じ社員全員で取り組むことになった。
ただ、実際に取り組んでみると当初の条件よりも工事の工程というのは非常に複雑であった。終電から始発といっても、実施的な作業ができる時間というのは、深夜1時から4時の間で鉄骨の搬入から据え付けの作業までをその時間内で完結させなければならなかった。
福井から当社で製造した鉄骨を運び、深夜に合わせて現場に入り、スケジュール通りの仕事を進めていくというのはなかなか厳しい作業であった。
そんなときに助けとなったのが関西エリアに拠点を持つ、関係先企業の方々だ。
当社で製造を行った鉄骨の最終調整や搬入までに日数のあるものは場所を間借りして材料を置かせてもらうなど、大きな助けとなっていただいた。大型建造物の工事案件というのは限られたサプライヤ―の中で回している為、横のつながりがあることもこの仕事の魅力ではないかと思う。
国内最大の依頼で参画
当時の工事を振り返ると非常に大変であったなと思う。鉄骨の図面作成を大手ゼネコンの担当者と打ち合わせながら、鉄骨資材の仕入れ、社内の現場で製作、現場へ鉄骨の搬入。たった一つの工事案件ではあるが、何千人という人間がかかわる為、少しのズレが全体に影響をしてしまう。幸い、大きなミスを起こさずに乗り切ることができたが、この案件を乗り切ることができたのは、社内のチームワークはもちろん、関係各所との関係性を日頃から保ってくれている、社員一人ひとりの人間性と高い品質にあると考えている。
当社では、大きい案件が終わった後には、自分たちの仕事がどのような場所で役立っているのか、視察に行くことにしており、休日であったため有志を募り、大阪駅に後日見に行くことがあった。
当日はちょうど、日曜日でもあったことから数千人~数万人の人でごった返していた。今では国内最大級の商業施設併設のハブ駅となっているJR大阪駅であるが、当時見学をした際にある社員が「その基盤を支えているのが当社の鉄骨であるというのはなかなか他では味わえない感覚ですね。」と言っていた。
我々自身の仕事というのはなかなか見えない部分があり、例えばAppleでiPhoneの製造に関わっているんだというわかりやすい仕事ではない。しかし、日々の暮らし、人々の暮らしを豊かにする上で最も基盤となる裏方の仕事をしているのだということが誇りであり、共感する社員に囲まれていることが幸せであると感じている。